ビジネスエキスポ

Interview

百田尚樹氏

慌てる乞食は貰いが少ない

百田尚樹
真剣にチャレンジすることになったきっかけは?
50歳になったのがキッカケ。

昔から人生50年と言われてきて、それまで人生を振り返ったことはなかったけど、
50歳を迎える時になってもう50歳かと。

面白おかしく生きてきたけど、本当に命がけで仕事をしたことはあったかなと。
ここで死ぬのは寂しい人生かなと。
50歳以降は新しい人生を送ってみよかなと思ったのがキッカケ。
なぜ小説を選んだのか?
何をしようか色々考えた。

テレビは基本的にスタッフ20人から30人の大勢で作る。

例えば、私が企画して台本を書いてある番組を作るとする。
僕が企画をして台本を書くけど、
それを映像化するのはディレクター。
映像を録るのはカメラマン。
そこにいるのはタレントだったり演者。
その映像に音をつける人がいて、編集マンが編集する。
ナレーションを入れる。
出来た作品に、僕の仕事は何%あるのか難しいところ。

小説の場合は初めから終わりまで全部自分の仕事になる。
100%自分の仕事として勝負したいというのもあった。

もうひとつは
映像は便利なもので、映像もある、音もある、何でもある。
それに頼らない、まったく文字だけの世界で、どこまでいけるか勝負したかった。

若い時からテレビの台本を書いてきて、ものを書くことには慣れていた。
だから書くということで一回勝負してみようと思った。
成功の結果の原因は?
なんやろね。
運が良かったとしか言いようがない。

間違ってると思うけど、あえて言うと、
テレビというのは高い視聴率を取ろうと思うと、絶対にターゲットを絞らない。

たまにテレビ局が「若者向けの番組を作ろう」とか「視聴者層を絞ろうとか」やるんですけれど、
それをやると絶対に高い数字は取れない。

例えば圧倒的に若い女性に支持を受けても、日本の人口の中で若い女性は数%しかいない。

若い女性の視聴率を全部取っても、数%しか取れない。
15%とか20%の視聴率を取ろうと思うと、
年寄りも、おっちゃんもおばちゃんも、若い女性も女子大生も、高校生も主婦も中年サラリーマンも、
みんなが面白がるものを作らないと、絶対に高い数字は取れない。

「探偵ナイトスクープ」も全層がターゲットなので、子供と孫が同時に見れる。

テレビの世界でそのようにやってきたので
本を書く場合も、全ての人が面白がれるということだけは考えている。

テーマそのものははややこしいものもある。
戦争、石油、ボクシング など、
テーマ自体は万人が興味を持たないテーマなんだけど、
ただそれを書く場合は、どんな人も興味を持って面白がって読んでいただくかということを考えている。

小説はマイナーなものなので、1万部売れたら凄いと言われるが、
日本の人口1億2000万人で割ると1万人に1人の割合になる。
10万部売れたとしても1000人に1人くらい。

小説というのは最初からマイナーターゲットというところもあって、
色んな現代作家の本を読んでいても「これは万人が喜ばないな」ということが多い。

例えば
20代前半のある種の人たちには共感するところはあるけど、40代の人には共感は呼ばないなとか。
主婦は面白がれるけど、若い女の子は絶対面白がれないなとか。
中年サラリーマンは楽しく読めるけど、それ以外の人はほとんど面白がれないなとか。
そういう小説が結構多い。

最初から1万人に1人とか、5000人に1人売れたらいいと思っていると本は売れない。
多くの人に読んでもらおうという努力をするべきやと思う。

僕がそれで売れたとは思わないけど、そういう要素もあるのかなと思う。
これからチャレンジする人に一言
僕は50歳で小説を書いたけれど、
人間、何か新しいことをやろうという時に「遅かったかな」と思う人が多い。
「5年前やったら」とか「10年前やったらいけたかな」とか。

それは大きな間違いで、やろうと思った時がチャンスなんですよ。
その時に10年遅かったからと思ってやらなかったら、
そのあと10年後に「何であの時やらへんかったのかな」と思う。

あとは「転職したらうまくいく」、「別の環境に行ったらうまくいく」
と思ってる人がいるけど、いろんな成功者を見てきた中で、
成功するか成功しないかはひとつ法則があると思う。

それは、まず前の職場で成功していなければいけないということ。
前の職場で鳴かず飛ばずだったら、転職してもうまくいかない。

確かに環境によって人間は変わる。
同じ種でも、水はけがよくて日当たりの良いところに蒔かれたらスクスク伸びる。
日陰でジメジメしたところだと、なかなか伸びない。

でも日陰でジメジメしたところでも、いくらかは伸びる。
そこでも良く伸びる人と伸びない人がいる。
そこでも良く伸びてる人は、良いところに持って行ったらどんどん伸びる。
そこで全然ダメな人は、良いところに持って行っても伸びない。
座右の銘は?
慌てる乞食は貰いが少ない。
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